株式会社とは?

 

細分化された権利(株式)を有する株主から、有限責任の下に資金を調達して株主から委任を受けた経営者が事業を行い、利益を株主に配当する会社形態です。営利を目的とすることが必要です。

株式会社の大きな特徴は、

  1. 株主の有限責任
  2. 持分の自由譲渡性
  3. 所有と経営の分離
  4. 出資者株主による所有

の5つとなります。


株式会社の機関設置

株式会社に必ず設置しなければならない機関としては、

  • 株主総会
  • 取締役

です。(会社法二九五条、三二六条第一項)

株主総会は、最高の意思決定機関、取締役は具体的経営に関する行為を担う機関と理解していただければよいと思います。

 

会社法二九五条第一項

株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。

 

会社法三二六条第一項

株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。

その他の会社の機関としては、

取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会または指名委員会を置くことができます(会社法三二六条二項)。

※自由に期間設定できるわけではありません。

 

会社法三二六条第二項

株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役会、会計監査人、監査等委員会又は指名委員会等を置くことができる。

非公開会社で中小会社の場合の機関設置のパターンは以下のとおりとなります。

株主総会 取締役     会計参与(設置しなくてもよい)
株主総会 取締役 監査役  

会計参与(設置しなくてもよい)

株主総会 取締役 監査役 会計監査人 会計参与(設置しなくてもよい)
株主総会 取締役会      会計参与(必ず背設置)
株主総会 取締役会 監査役   会計参与(設置しなくてもよい)
株主総会 取締役会 監査役 会計監査人 会計参与(設置しなくてもよい)
株主総会 取締役会 監査役会   会計参与(設置しなくてもよい)
株主総会 取締役会 監査役会 会計監査人 会計参与(設置しなくてもよい)
株主総会 取締役会 3委員会 会計監査人 会計参与(設置しなくてもよい)
株主総会 取締役会 監査等委員会 会計監査人 会計参与(設置しなくてもよい)

株式会社の定款の意義

 

定款には、

  1.  実質的意義
  2.  形式的意義

の二つの意義があります。

実質的な意義として、

  1.  会社の組織
  2.  活動に関する自治規範

としての意義です。

形式的意義としては、その自治規範を記載した書面というものです。定款を作成するということは、実質的意義における定款を定め、これを書面に記載することです。なお、定款は書面だけではなく、電磁的記録を持っても作成することができます。

株式会社においては、発起人が定款を作成し、、発起人全員が署名し、または記名押印することが必要であり、さらに会社の本店所在地を管轄する法務局または地方法務局に所属する公証人の認証を受ける必要があります。

 

会社法ニ六条第一項 

第二六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。

 

会社法ニ六条第一項 

第二六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。

 

会社法三〇条第一項 

株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

定款は、それを作成した発起人だけではなく、

会社の株主

会社の機関 を拘束します。

また、会計監査人についても、定款の定めに従わなければならないと解されています。しかし、第三者については定款の拘束を受けません。(ただし、株式を取得し、会社の債権者となろうとする者に対しては、定款の定めを主張することができます。)


株式会社の 定款の記載事項

定款の記載事項には、

1、絶対的記載事項

2、相対的記載事項

3、任意的記載事項

の3つがあると言われています。

絶対的記載事項絶対的記載事項とは、会社法の各号に挙げられている事項で、必ず記載が必要となります。記載内容が違法、記載の漏れがあった場合、定款自体が無効となり、会社設立自体も無効となってしまいます。定款作成時には、記載漏れはもちろん、合法であるかどうかについても慎重になることが重要です。

 

会社法ニ七条

株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。

①目的

②商号

③本店の所在地

④設立に際して出資される財産の価額又はその最低額

⑤発起人の氏名又は名称及び住所


株式会社の計算(会計)

家庭での家計簿をつけることがあるかと思いますが、株式会社では、財務を適正に管理し、計画的な運営を行っていくために会計帳簿の作成が義務付けられています。また、貸借対照表、損益計算書等の計算書類や事業報告書を作成し、株主総会での承認又は報告が義務となっております。この義務は、会社の所有者である「株主の利益の保護」や「会社債権者の利益の保護」を目的とするものです。

株式会社の会計は、公正妥当と認められる企業会計の観光に従うものとされています(会社法四三一条)。企業会計審議会が作成した、

「企業会計原則」

がこれにあたるとされています。

 

会社法四三一条

株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする。

株式会社は、適時に、正確な会計帳簿を作成することも義務付けられています(会社法四三二条第一項)。この要求を満たして作成された会計帳簿に基づき、計算書類を作成します。会計帳簿については、帳簿閉鎖の時から10年間保存することも義務となります(会社法四三二条第ニ項)。決算が終わったからと言って、帳簿を棄ててしまうなんて事の無いように保管はしっかりとしておきましょう。

 

 会社法四三二条第一項

株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。

 

 会社法四三二条第二項

株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。

会社法上、決算に際して義務となる計算書類は、

貸借対照表

損益計算書

株主資本等変動計算書

個別注記表

付属明細書

となります。これに加えて、事業報告及びその付属明細書も作成する必要があります(会社法四三五条第一項・第二項、会社計算規則第五九条第一項)。

 

 会社法四三五条第二項

株式会社は、法務省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。

 

会社法四三五条第二項

株式会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度にかかる計算書類(貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう)及び事業報告並びにこれらの付属明細書を作成しなければならない。

 

会社計算規則第五九条第一項

法第四三五条第二項に規定する法務省令で定めるものは、この編の規定に従い作成される株主資本等変動計算書及び個別注記表とする。

以下に決算書類の概要を表記します。

貸借対照表 「バランスシート(B/S)」とも呼ばれます。会社の一定時点における財産状態を表示するものです。
損益計算書 「P/L」とも呼ばれます。一事業年度に発生した収益と費用を明らかにして、会社の営業成績を示すものです。黒字だったのか、赤字だったのかを表します。
株主資本等変動計算書 株主が会社に出資した資本の増減を表すものです。
事業報告

愛車の事業状況の概要を報告する書類のことです。事業報告の内容については会社法施行規則に定めがありますが、様式については特に指定はありません。


株式会社の資本金・準備金

資本金及び準備金は、会社債権者のために会社が最低限保有すべき資産を一定の額として示したものです。会社財産の流出を防ぐ機能があります。株式会社を相手とする取引では、その会社の資本金額が一定の目安となります。よって資本金の額は登記事項とされ、貸借対照表へも記載されます(定款の記載事項とはされていません)。株式会社の設立後に資本金及び準備金は減少させることもできますが、一定の手続きが経る必要があります。設立の際は十分に資本金を準備できるようにしておきましょう。

  要件 債権者異議手続
資本金の減少 株主総会特別決議 必要
準備金の減少 株主総会普通決議 原則必要