合同会社とは?

持分会社には、

  • 合名会社
  • 合資会社
  • 合同会社

の3つの種類があります。

いずれの会社も、人的信頼関係を有し、少人数の者が出資して共同で事業を営むことを予定した会社類型であり、

  • 会社の内部の規律については、定款自治が認められ設計が比較的自由で、株式会社の取締役のような機関は置かれず、原則として全社員が自ら会社の業務執行に当たる(会社法第五九〇条第一項)。ただし、定款の定めによって業務を執行する社員、さらにその中で会社を代表する社員を限定することも可能(ここでいう社員は、その会社に出資している人のことで、いわゆる「サラリーマン」のではない)。

 

 会社法第五九〇条第一項

社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持ち分会社の業務を執行する。

  • 原則として定款の作成・変更には全社員の同意を要しますので(会社法五七五条第一項、六三七条)、社員ひとりひとりがこれらの事項について拒否権を有していることになる(ただし、定款に記載することによって変更の際の同意を不要とすることもできる)。

 

 会社法第五七五条第一項

合名会社、合資会社、合同会社を設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

 

 会社法第六三七条

持ち分会社は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によって、定款の変更をすることができる。

  • 社員の持分の譲渡、新たな社員の加入も他の社員全員の同意を必要とする(会社法五八五条第一項、六〇四条第二項)(こちらも定款に定めをおいて全員の同意を不要とすることもできる)。

 

 会社法第五八五条第一項

社員は、ほかの社員の全員の承諾がなければ、その持ち分の全部又は一部を他人に譲渡することができない。

 

 会社法第六〇四条第二項

持分会社の社員の加入は、当該社員に係る定款の変更をしたときにその効力を生ずる。

  • 利益分配、議決権分配も、出資割合とは切り離して自由に認められる。

という特徴があります。

さらに合同会社は、以下の点は、合名会社・合資会社とは異なり、株式会社の特徴を踏まえた設計となっています。

  • 社員は全て有限責任社員(会社法第五七六条第四項)、また社員は間接有限責任のみを負う(会社法第五八〇条第二項)。

 

 会社法第五七六条第四項

設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、その社員の全部を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。

 

 会社法第五八〇条第二項

有限責任社員は、その出資の価額(既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。)を限度として、持分会社の債務を弁済する責務を負う。

  • 社員になろうとする者は、原則として、定款の作成後、合同会社の設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない(会社法第五七八条)。

 

 会社法第五七八条

設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、当該合同会社の社員になろうとする者は、定款の作成後、合同会社の設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、合同会社の社員になろうとする者全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、合同会社の成立後にすることを妨げない。

  • 持分の全部又は一部を譲り受けることはできず、取得した場合には、消滅する(会社法第五八七条)。

 

 会社法第五八七条

①持分会社は、その持分の全部又は一部を譲り受けることができない。

②持分会社が当該持分会社の持分を取得した場合には、当該持分会社がこれを取得した時に、消滅する。

 合同会社は、外資系企業の現地法人に当たる子会社に多いのも特徴です。

 (Apple Japan合同会社、アマゾンジャパン合同会社、グーグル合同会社)

株式会社に比べて、信用に劣るとも言われていますが、しっかりとした財務基盤があれば、株式会社と遜色なく融資等も受けられるます。


合同会社の定款の意義

定款には、

  1.  実質的意義
  2.  形式的意義

の二つの意義があります。

実質的な意義として、

  1.  会社の組織
  2.  活動に関する自治規範

としての意義です。

形式的意義としては、その自治規範を記載した書面というものです。定款を作成するということは、実質的意義における定款を定め、これを書面に記載することです。なお、定款は書面だけではなく、電磁的記録を持っても作成することができます(会社法第五七五条第一項、第二項)。

合同会社においては、株式会社と同様、発起人が定款を作成し、、発起人全員が署名し、または記名押印することが必要ですが、公証人の認証を受ける必要はありません。また、合同会社においては社員の全員が有限責任社員である旨記載する必要があります(会社法第五七六条第六項)。

 

 会社法第五七五条

合名会社、合資会社又は合同会社(以下「持分会社」と総称する。)を設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

②前項の定款は、電磁的記録をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

 

 会社法第五七五条第四項

設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、第一項第五号に掲げる事項として、その社員の全部を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。


合同会社の 定款の記載事項

定款の記載事項は、株式会社と同様、

1、絶対的記載事項

2、相対的記載事項

3、任意的記載事項

の3つがあります。

絶対的記載事項絶対的記載事項とは、会社法の各号に挙げられている事項で、必ず記載が必要となります。記載内容が違法、記載の漏れがあった場合、定款自体が無効となり、会社設立自体も無効となってしまいます。定款作成時には、記載漏れはもちろん、合法であるかどうかについても慎重になることが重要です。

 

会社法第五七六条第一項

株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。

①目的

②商号

③本店の所在地

④社員の氏名又は名称及び住所

⑤社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別

⑥社員の出資の目的(有限責任社員にあっては、金銭等に限る))及びその価額又は評価の標準


合同会社の計算(会計)


合同会社の資本金・準備金